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browncm
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by hoyotoho 0:00 - 4:10

エジプトで発掘調査をしている河江です。

あの、考古学者なんですが、インディ・ジョーンズみたいな帽子を被ってなくてすいません(笑)

現代の私達にとって古代エジプトが一体どんな関係があるのか、
突き詰めて言えば考古学というのが一体役に立つのか、というふうに思っている方がいるかもしれません。
・・・そちらの方、大きく頷いてくれてありがとうございます(笑)

この話、実は私よく聞かれます。

そのときに私がいつも思い出すのが、映画『シンドラーのリスト』のある場面です。
ご覧になった方いますか?シンドラーのリスト。
・・結構おられますね。

その場面というのはどういった場面かというと、
ナチスの兵士がですね、ユダヤ人を職業別で分けていきます。
役に立つと見なされた職業というのはブルーカード、
役に立たないと見なされた職業というのは即ゲットー行きです。

で、歴史の先生が列に並びます。
彼はもちろん・・・ゲットー行きです。

そのときに歴史の先生がこう呟きながら連れて行かれます。
「一体いつ歴史というものがエッセンシャル(essential)じゃなくなったのか」と。

今日私が話をする、皆さんにお伝えする話というのはユーズフル(useful)、役に立つ話ではないです。
ただ、人間というものを理解する上でエッセンシャル(essential)なものだと思っています。

その話の内容というのは、ギザのピラミッドです。

ここでもう一つ皆さんにお伝えしておきます。
ピラミッドの謎というのはまだ解けていないです。

私達がこの巨大な4500年前に造られた建造物について知っていることというのは、まだごくわずかなものなんですね。

で、何故わからないのか。

えー、これはイギリスの児童文学家でラドヤード・キップリング(Rudyard Kipling)という人の言葉を引用しましょう。

キップリングというのは『象の鼻はなぜ長い』というですね、非常に示唆に富んだ童話を書いています。

その中に出てくるのが、「6人の召使い」という詩が・・・最後に出てきます。
ご存じの方がいるかもしれません。

この召使いというのはキップリングのために世界中のあらゆるところに行き、いろんな情報くれるという6人です。
それは、”what why when how where・・・”

例えばピラミッドに関して言えば、ピラミッドが何なのか、ピラミッドがなぜ建てられたのか、
ピラミッドがいつ、どのようにして、そしてどこに建てられたのかという研究というのはこれまでによくされてきました。

しかし、一人足りないですね。

この5W1Hといわれる中の最後の一人というのが、最後、”and who”・・・一体誰がピラミッドを建てたのか。

ピラミッドを建てた人というのはどこに住んでいてですね、
どんな生活を行っていたのかという研究がなされなかったわけです。

この中でエジプトに行かれたことがいる(ある)方?
・・多分、そんなにいないですね。

おそらく行かれていない方は、皆さんのイメージとして、何かこう・・・ピラミッドといえばですね、砂漠の真ん中に孤立無援の形で建っている・・こう、
非常にロマンチックな姿を想像していると思うのですが、実際の姿というのはこういった形です。

・・・もう、人だらけです(笑)

年間ですね、1300万人ほど・・・日に直すと3万人ぐらいの人々がギザ台地を訪れます。
ただ、ここにいる観光客を、頭のなかですべて労働者に変えてみてください。

私達エジプト学者の推定では、おそらく2万から3万人の人々がピラミッドを造築するのに関わったと考えられています。

そのためにここの人をですね、すべて労働者に変えたその時のイメージが4500年前のイメージであるわけです。

こういった人々のことを考慮に入れずにピラミッドのことを語ろうと思えば、
例えば非常に複雑な説になったり、果てはですね、宇宙人であるとか超古代文明(笑)とかが出てくるんですが、
人々を入れてもう一度考えてみると、どのようにしてピラミッドを建てたのか、特にこの問題に対して、適切な答えというのが出てくるのではないかと。

by Lamphes 4:10 - 10:35

で、このことについて、えー、考え今から28年前
弊協会の、えー、隊長であるアメリカ人考古学者マーク・レーナーが
ギザ台地を踏査しました。で、当初言われていたのは、
ナイル川があればですね、ナイルの東側は生きている人の町だと。
そしてナイルの西側には、これは墓しかないと言われていたんです。
ところが、レーナー自身が考えたのは、
人間というのはそんな不自由なものじゃないと。
ピラミッドが国家プロジェクトであれば、
ピラミッドを建てるすぐそばに町というのもあるだろうと。
そして考えたのがスフィンクスの南500m、
「カラスの壁」と呼ばれる壁があるんですが、そこを発掘しました。

結果、出てきたのがこれまで見たことがないようなですね、
えー、都市遺構が出てきました。
これが「ピラミッド・タウン」と私たちが呼んでいるところです。
で以後、30年にわたるここの発掘調査が行われています。
今現在、私が担当しているというのは、
この中で「西の町」と呼ばれる、恐らく貴族であるとか、
上流階級が住んでいたと思われる人の町の発掘をしています。
特に「House Unit 1」という、ピラミッド・タウン最大の
えー、巨大な、大きな家というのを発掘しています。
で、家をですね、詳しく見ていくと、もう現代と変わらないような形です。
例えば、キッチンがあります、当然ながら。
で、古代エジプトの主食というのはパンです。
で、このパンなんですが、あの、「ベジャ」と呼ばれる
30cmから60cmの非常に大きな素焼きの壷に入れて焼くんですが、
めちゃくちゃおいしいです。で、なんでお前知ってるんだ
という感じなんですけれど、実は今年の2月にですね、
あのー、あるテレビ番組で再現して作ってみました。

これ、エンマー小麦という小麦を使って作ったんですが、
非常に、まぁどっしりはしているんですが、
慈愛に満ちたですね、あの、味がします。
その他、ビールも飲みます。ただ、冷えてはいないです。
えーまた、アルコール分も低いんですが、
栄養価に満ちた、非常に、あの、このビール、
あの、エジプトではよく出てきます。
この「House Unit 1」でも大量のビール壷というのがあります。
あと、家の中には当然寝るところもあるんですが、
その寝るところが真ん中にあります。

寝ているのはですね、私の、あの、発掘チームの1人の
アリおじさんなんですけど。
「実験考古学」と称してよくこういうのを確かめたりするんですよ。
私もこう寝てみたらですね、非常に、あの、寝心地はいいです。
で、こういった人々がピラミッドを作っていたというのを考え、
もう一度、ではどのようにしてピラミッドが
建てられたのかというのを考えてみようと。
ただ、ここでもう一つ問題があります。
どんな問題があるのかというと、
実はデータというのが無いんですね。
まぁ、無いといったら、ちょっと語弊がありますが。
えー、一つ見せましょう。
これが、今まで私たちが持っているデータになります。
で、ピラミッドって言えば例えば四角錐で、
こういうような線画で数字を書かれてますね。
ただこういった線画というものは、
建設当初は恐らくこうだっただろうという、
ある種、復元図であり、現状そのもの、
石一つ一つを表したりしてません。

皆さんの恐らく、これもイメージの中で、
考古学というのは発掘であると、
物を掘り出すのが仕事だと考えられているかもしれませんが、
実は考古学の一番重要な仕事というのは「記録」です。
適切な記録があってこそ、過去というのを理解できるわけです。

で、こういったものからはなかなかピラミッドの建造方法
というのが分からないため、
私たちは新しい、最新の計測技術を使い、
この、まず第3のピラミッ…えー、第4のピラミッドと
呼ばれるものをですね、えー、計測してみました。

こちらの線画と今から私が見せるものと、
まぁあの、見比べをしてみて下さい。
これが私たちが作ったものになります。
これが3次元計測になります。
で、見ていただくとですね、
あのー、点で成ってるのが分かりますか?
で、これ、コンピュータグラフィック、
イメージのものではなく、点で成っており
「点群データ」と呼ばれてます。
それぞれの点にはX・Y・Z、RGBの情報があり、
これはあるがままを、現状を記録しているものです。

で、こういったものを、あの、利用して、
私たちはピラミッドの作り方を理解しようとしているんですが、
ただ、まぁ、データの欠損箇所があるため、
そういったものはコンピュータサイエンティストが
モルフォロジー処理を使って、えー、欠損箇所を埋めたり、
あと石の切り出し方なんかはなかなか分かりにくいので、
今度は「PEAKIT」というですね、
まぁ、特殊なエッジ・ディテクティング、えー、
アルゴリズムを使い、まぁ、これも分かりやすくしたり。

あと、ピラミッドのこういった巨石建造物の周りというのは、
砂が埋まっていてそこがどうなっているのか分からないと。
そういったものというのは、えー、衛星画像の解析を使い、
えー、地下というのを確かめようというふうにしています。
で、このようにしてピラミッドの、えー、
謎に挑んでいるわけです。

で、もう一度、先ほどの「Six Serving Men」、
6人の召使いについてちょっと話をしていきましょう。
で、キップリングはですね、
そのー、召使いのときに、最後にこういうふうに書いています。
「ある子どもたちにとっては、実は謎というのは6つだけではないんだよ」と。
彼らにとって謎というのは、実は一千万あると。
もう、子供ってずうっと問いかけますよね。
どうして、どうして、どうして、どうしてと。
実はピラミッドというのも謎はまだまだあります。
四角錐と皆さん思っていると思うんですが、
実は東西南北が少しずつ凹んでます。
なぜかはまだ分からないです。

クフ王の大ピラミッドの北東の角には、
巨大な壁が石灰岩の***の中に埋まってます。
これもよく分かってないです。
そのためにピラミッドの謎というのは、
まぁ、日本でいう八百万ではないんですが、
本当にまだまだ無限にあるわけです。

で、こういった謎というのは、当然ながら、私一人では解けません。
ピラミッド・クエストに関して言えば、
やはりパーティー、グループを組んでやっているわけなんですが、
そのグループが、えー、ここにいる面々たちになります。
まぁ、今回は、私は、あの、一代表として
この話をさせて、えー、いただいてます。
で、今回、このTED×Kyoto、色んな方が来ているということで、
私が一つ望んでいるのは、恐らく新しいパーティーのメンバーが
見つかるんではないかなというふうに思ってます。
まぁ、もしくは協力者が見つかるのではないかなというふうに、
えー、思っていますので、また興味がある方は、
あの、声かけてください。
まぁ、最後に、まぁ、この、えー、プロジェクトのですね、
えー、隊長であるマーク・レーナー、えー、
亀井先生、佐藤先生。そして何より、
今色々と揉めてはいるんですが、あの、
エジプトの仲間たちですね。
彼らに、あの、スペシャルサンクスを送りたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。

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