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2004年、当時まだ22歳で大学を出たばかりだったナタリー・ポートマンは、マイクロファイナンスの普及を推進する国際共同体支援財団(FINCA)の “大使”として、米連邦議会を訪問した。なぜ自分がそこにいるのか不思議に思えたが、財団スタッフから「会ってもらえることになったのは、あなたのおかげなんだから」と言われた。議員たちにとって、ポートマンは単なる一人の若い女性ではない。彼女は『スター・ウォーズ』に登場する美しきパドメなのだ。
「『それって完全におかしな話だわ』と思ったの」と、ポートマンは筆者に語った。「ただ、それが現実なんでしょうね。でも、NPOの代表よりも私のほうが話を聞いてもらえる国なんて、あまり誇りには思えない」。確かに誇らしくないことではあるが、それが現実だ。近年のセレブリティたちは、人々の日常生活における自分の強烈な存在感、そして政治やビジネス、メディアの最上層部とのコネクションが、自分たちを倫理的に特殊な位置に立たせていることに気づくようになった。そして、多くのハリウッドのセレブたちが、開発援助や難民、ダルフールでの残虐行為といった政治的な問題に関わるようになった。
こうした政治問題に長年取り組んできた活動家たちは、セレブたちの“政治力”について喜びと戸惑いの両方を感じているようだ。というのも、破壊力のある兵器こそ、巻き添え被害を起こしがちだからだ。世界の紛争防止に取り組む「インターナショナル・クライシス・グループ(ICG)」のドナルド・スタインバーグ副会長によれば、セレブたちには、こうした問題を「善と悪に二分してとらえてしまう傾向がある」という。