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第3日目 プラド美術館~アランフェス~コンスエグラ (ラマンチャ地方) ~コルドバ
朝早くプラド美術館へ出発。 8時過ぎてもまだ夜が明けない。早朝だというのにたくさんの団体さんがもう、 入り口の前で列を作って待っていた。 ベラスケスの門と称してベラスケスの銅像がある入り口から入る。 団体客は入場時間1時間10分という制限があるので、 ガイドさんは、 さっさと有名な絵の前に連れて行く。 先ずボッシュの天国、 快楽の園、 地獄の三枚続きの絵にびっくり。 そういえば、 ボッシュがスペイン王の注文を受けて描いたものだと何かで読んだことがある。 天国は地獄に比べて精彩がないけど、 色褪せもせず、 異様な様が描かれた現物が見られて、 大感激する。 次にベラスケスの 「ラスメニーナス」 を説明してくれた。 遠近法の巧みなことや光線の当たり具合や、 精緻な描写が素晴らしい傑作で、 いつまでも見入ってしまった。 これを見ただけでもはるばると来た甲斐があった。 あとは洋服の豪華な肖像画とか馬のお尻がとってもすてきに描けている絵とか見た。 それからゴヤ。 「マハ] に、 数々の風俗的な庶民の絵、 巨人の絵に、 虐殺の場面と、暗い迫力に満ちていて、皆よかった。 カルロス5世一家の絵も抜きん出て優れた描写だった。
80何歳かの最後の絵が若い娘の肖像画で、 何か清々しいのに救われる思いがした。 あと、 グレコを見て、 ムリリョは通過しゴヤの門から出た。 イギリスなどと違ってほかの国から持ってきた絵がないのは意外だった。 美術に関しては国家的プライドが高いのかもしれない。 そういえば、 いたる所に絵が飾られているのも芸術を愛する国民性が感じられる。 もっと近代的な絵の傑作も見たかったけど、 ほかの美術館に所蔵されているらしい。残念なことに、見られなかった。
バスで南に1時間ばかり下ってアランフェスへ。 ずっと乾いた枯れ草色の風景から緑濃い川のほとりのオアシスのような土地に来る。 気候も穏やかだという。 ここは、 王家の別荘で、 昔は入り口まで鉄道線路が引かれていたそうだ。 王宮としてはこじんまりしているけど、 内装が執拗なほど華美に金や刺繍、 寄せ木細工で飾られていて、 一部屋ごとに色が違っていた。 ピアノの部屋や赤ちゃん用の部屋もあり、 ちょっとアットホームな雰囲気もある。 中国風なごてごて装飾にはついていけないものがあるが、でも、 庭は広々としてきれいだった。 泰山木(タイサンボク)の木がたくさんあって、 オレンジ色の大きな松笠状の実を付けていて、 あるものは真っ赤な種をはじかせて、 いい匂いを漂わせ、 きっちり造園していないのが心地良い。 もっとゆっくりしていたい所だったが、 夫は、 アランフェス協奏曲の哀愁と、実際の宮殿の華麗さとのギャップに、 期待がはずれた様子だった。
バスに揺られて田舎道を行き、 小さな町を横に見て丘に上ると、 古城の廃墟と11棟の白い円柱に黒い屋根を乗せた風車(フウシャ)小屋が並んだコンスエグラに着く。 丘の上は風が吹き渡り、 すこし寒い。 観光バスを見たら、 急いで丘に上がって店を開くおじさんが待っていた。 風車のなかは狭い。 此の地方特産のサフランを買った。 丘から下を見下ろすと、 そこここに鮮やかな青紫色の一群れが見えるのがサフランだという。 四方を見渡せて気持ちいいけど、 肥料が臭かった。 今は使われていないので羽根は動かないけど、 きれいに塗られて、 ドンキホーテの舞台にふさわしい風景だった。 近代的な建物や余計なものがあまり目に入らないのがいい。
セルバンテスが三度泊り、 ドンキホーテが騎士の称号を与えられる場面に描かれたというベンタデルの古い旅籠で、 今はレストランになっている所でお昼を食べた。 メニューも由緒あるカマチョの婚礼料理というのだが、 鶏のもつの入った鶏臭いスープに鶏のぶつ切りと鶏団子が入った煮込みだった。 パンがあまりおいしくなかったので、皆がっかりした。 デザートは揚げ菓子にアイスクリームが乗ったもので、 やはりがさつな感じのする菓子だった。 内装は田舎風でもさほど古びておらず、 入り口にある井戸だけが当時から残っている物だという。 土産品はドンキホーテの置物などのようなものばかり。 ドンキホーテはどこの店でもがりがりに痩せたひげの老人で、 このイメージが定着しているらしい。ここへ来るのは日本人観光客ばかりではないか。 客あしらいがあまり良くない。
バスはえんえんとオリーブ畑が続く道をひた走り、 コルドバに向かう。 遠くになだらかな丘が見え、 古城か要塞かの廃墟があって規則正しく植えられたオリーブしかない風景が単調に続く。 人もほとんど見当らない。 これだけオリーブの木があるなら、 たいした生産量だろう。 丘の斜面にまでずっと植えられている。 ときに葡萄畑が続いたりする。
ずっと平坦な眺めが続いてきたが、 山々が連なり、 峠を越えたり、 崖の縁を通ったりするようになり景色が変わる。 山は岩だらけで草が点々と生えているだけで木が本当に少ない。 層雲峡のような絶壁もあったけれど紅葉が見られないので景観に欠ける。 たまに黄色く色づいた木立が見られることもある。 かなり高い所までオリーブが植えられているので、 灰緑色ばかりの印象になる。 天気もすっきり晴れないので、 一層淡彩に見えたのだろう。
ところが険しい峠を越えたら、 緑が多くなり、 アーモンドの畑がみずみずしい緑を見せ、 コルドバの街のなかに入ると棕櫚の並木が見られ、 南に来たことを実感する。 建物は古めかしい物や、 サラセン時代の外壁が残っていて街全体がトレドとはまた違った古都の雰囲気がある。 カルタゴ時代に建設され、 ローマ時代、 西ゴート王国、 回教教徒の支配を経ているので、 街は幾重もの遺跡を内包しているのだろう。 夕方、 雨模様のなか、 ホテル、 グラン・カピタンに着く。 今度は少しグレードアップしたようで、 やや豪華になった。 夕食はポークソテーにフライドポテト。 豚肉はおいしかった。
Mine is only a sample.
I made some mistakes.
I hope some Japanese women will read this text with much emotion.