ありがとう!!!!!
ごはん?
何秒かのあいだ、どちらも黙っていたと思う。それからようやく私はいった。
「ごはん? 最初の言葉がそれなの?」
きょうこれからでかけるというのならともか、何か月も先の旅行の予定をきいてでてくる言葉が、どこにいくの、でもなく、荷日くらいいくの、でもな〈、ごはんは、だなんて。
私は、自分の存在の第一義がごはんであると言われたような気がしてかなしくなった。
このてのことはしょっちゅうおこる。
ごはん
これはくせものだ。結婚して二、三ヵ月たつと、いやでもそのことに気がつく。
会社から帰ってごはんを食べて限る、という一連の行動にあまりにも無駄のない夫をみていると、あの、書くも陳腐な新棄の疑問--- このひとは、ごはんのためだけに私と結婚したんじゃないかしら---を心のなかから追い払うのは至難の業だ。