自然なスピードでお願いします。
「聞いてる?」。ハッ、今は会議中!さっきまで集中してたのに、いつの間にか考えごとを。もしや、こんなに集中力が続かないのって自分だけ? と思って調べてみると、過度の集中力を要する同時通訳の世界では、一人では集中力が続かないため、複数人でローテーションを組んでいるとか。マジッスか?
「同時通訳のなかでも、サミットや学会などで通訳を務める『会議通訳』の世界では、集中力の持続は15分が限界といわれているんです。会議通訳は、五感のうち4つをシャットアウトし、神経を耳だけに集中させます。口は、ほぼ自動的に動いている感じですね」(元同時通訳の梅原涼子さん)
ちなみに会議通訳は3人1組の場合が多く、15分ごとにローテーションで回すという。じゃあ、同じくサミットなどに出席している速記者は? 日本速記協会に電話をしてみると、担当者の川村恵子さんは「最長で4時間が限界ですねぇ」。いや、十分すごいッス。でも、そもそも集中力が高い状態ってどういうこと? 脳の研究者、日本大学文理学部の森昭雄教授に聞いてみました。
「集中力が高いときは、おでこのあたり、脳の前頭前野という部分が活発に動いています。前頭前野は、脳の最高の司令塔。記憶や情報などを引き出して統合し、判断や意思決定をしている場所です」
会議通訳は、この作業をフルスピードで行うから15分が限界なのか。もともと、人間はどのぐらい集中できるんですか?
「40分程度だと私は考えます。もし効率よく集中したいなら、脳をたまに解放してあげること。ちょっとした散歩は、リラックスするだけでなく、足という別の部分からの刺激で脳が活性化するので一石二鳥です。また、脳を動かす栄養であるブドウ糖の補給もいいですね。個人的には、クエン酸を含むオレンジなどもオススメです」(同)
てなわけで、この原稿は40分では書けず、散歩とブドウ糖の力を借りて仕上げてみました。心なしか普段より早くできあがった気がしますぜ!