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むかし、むかし、つるとかめは大の仲良しでした。
ある日のことです。かめさんが池のわきで日向ぼっこをしていると、つるさんが空から降りてきました。
「かめさん、元気かい。」
「うん、元気だよ。でも君は空が飛べていいな。僕はのろく歩くだけなのに。君のように空を飛びたいなあ。」
「かめさん、お望みなら、空に連れて行ってあげるよ。口で羽根をくわえて、僕の背中にすわっているだけでいいんだよ。でも、どんなことがあっても喋っちゃだめだよ。口を開けると地面に落っこちゃうから。いいかい。」
「いいよ、絶対喋らないよ。」
かめさんは、つるさんの背中によじ登ると、口で羽根をしっかりくわえました。
「いいかい、飛びあがるよ。」
かめさんは、生まれて初めて空を飛んでいました。見るもの全てが目新しく、右や左や、上や下や、後ろや前や、あちこちを見ていました。
「つるさん、空って素晴らしいね。」と話したくなりましたが、かめさんはじっと我慢しました。
まもなく、人里の上にやってきました。子供たちが野原で遊んでいました。
「見て、つるの背中にごみがついてるよ。」と一人が言いました。
「ほんとだ。ごみがついてる。」と別の子が言いました。
「ごみだ。つるの背中にごみだ。」とまた別の子が言いました。
それを聞いて、かめさんはかっとして、ついに喋ってしまいました。
「僕は、ごみじゃない。かめだ。」
かめさんは、つるさんからすべり落ち、地面にぶつかってしまいました。バーン!
かめさんが、こうらにひびがたくさんあるのは、こんなわけです。