Natural speed please.
「いいえ」と「No」
ジョーンズ:日本人と話をすると、時々何を考えているのかよく分からないことがあります。
先生:例えば、どんな時ですか?
ジョーンズ:先週、林さんに「友達から映画の切符をもらったんですが、いっしょに行きませんか?」って聞いたんですが、「はい」か「いいえ」かはっきり言いませんでした。「行きたいんですが、、、」と言って、行くのか行かないのかはっきり分かりませんでした。だから、「じゃあ、行くんですか?行かないんですか?」と聞いたら、「行きたいんですが、ちょっと、、、、」と言いました。
先生:ああ、それは、「行きたいんですが、ちょっと用事があって、行けません」という意味ですね。「いいえ」とはっきり言わなかったのは、日本語の「いいえ」は英語の「No」よりずっと否定の意味が強いからですよ。日本人は相手の気持ちを傷つけないようにしようと考えるので、「いいえ」という言葉を使わないで自分の気持ちを伝えようとします。相手の誘いを断る時や相手と違う考えを言う時に、よく「いいえ」を使わないで「いいえ」の意味を込めて文章を言う場合があります。
ジョーンズ:よく分かりません。
先生:例えば、英語では "Would you like to go to the party with me?"と質問されて、"No, I can't. I have to write a long paper."と答えたり、"What do you think about this problem? Do you agree with me?"と言われて、"No, I don't agree with you. I think..."と答えたりしても大丈夫ですね。でも、日本語で「映画に行きませんか?」とか「私の考えに賛成ですか?」と聞かれて、「いいえ」を使って答えると強く否定しているように聞こえてしまうんです。だから、「いいえ」を使わないで、「行きたいんですが、ちょっと、、、」とか「00さんのお考えはよく分かりますが、私はこう思います」とか言って「いいえ」という意味を表します。それから、「行きたいんですが、ちょっと、、、」のように文章を最後まで言わないことがよくあります。特に、何か相手に良くないことを言う時によくあります。それは、「思いやり」の気持ちがあるからです。
ジョーンズ:「思いやり」の気持ち?
先生:ええ、相手の気持ちを傷つけないようにしようという気持ちです。
ジョーンズ:そうですか。アメリカでは自分の考えをはっきり言いますが、日本ではちょっと違うんですね。
先生:そうですね。それは文化の違いでしょうね。