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sabazou
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"あ、つながっている、と気づいたのは、十二歳のころだ。夢のことである。 わたしは子どものころから今に至るまで、夢を見ない日はない。夢には色もにおいも肌触りの感覚もある。現実のなんら変わらない。そのさまざまな夢のなかで、ひとつだけ、連続ものの夢がある。最初は、連続ものであるとは気づかなかった。十二歳の夏の日に、はっと知ったのだ。昼寝から目覚めた暗い和室で。 その夢の、第一話目、というか、もともとの発端がいつなのかは、正確にはわからない。覚えているうちのいちばんはじめは、たぶん四歳のころだ。どんぐり幼稚園のももぐみにいたころ。 わたしの知らない場所を、男が歩いている。男はウェスタン帽を深くかぶっていて、顔はよく見えない。でも、そんなに若くないことはわかる。男が歩いているのがどこだかわからないが、わたしんちの近所でないことはわかる。土埃、赤茶けた道、乾燥した針金みたいな植物、黄色い太陽、腹を見せて眠る犬、もしくは犬にとてもよく似た動物。男は延々歩いている。そのしっかりした足取りで、彼には目的地があり、そこに向かっていることがわかる。 ももぐみ所属のわたしが見た夢は、これだけだった。覚えているのは、ほかの夢とちがって、何もなかったからだ。起伏が。展開が。意味が。 ももぐみからゆりぐみにあがって、また、見た。ウェスタン帽をかぶった男が、見知らぬところを歩いている。男の背景が、前より少しにぎやかになった。店がある。わたしの知っている店のようではないけれど、店だとわかる。色鮮やかな果物や、織物が、つり下がったり並んだりしているから。ちいさくて、縁日の露店みたいな店ばかり。男はそれらに目もくれず歩き、そうして、人の列に並ぶ。"