Natural speed please.
1章
ニートは悪だ! とか、ニートはクズだ! とか、言われるようになって久しい。
ニートへの風当たりが強い時代である。
たしかに、大抵のニートの素行は凶悪だ。
親と同居しながら日がな一日部屋にこもり、昼夜を問わずネットやゲームやDVDというバーチャルな世界に没頭。いい歳して生活費は年老いた親に工面させ、心がもやもやすればTwitterや掲示板で見知らぬ誰かを罵倒してウサを晴らす。
もちろん仕事を探す気はさらさらないし、むしろ開き直って「働いたら負けだ!」などと主張しやがる。そう、それこそがニート…………、すなわち人間のクズである‼
というのが、世間での月並みなニートへの印象である。
が、しかし。
伊藤たけしは思っていた。
自分は、そこいらのニートとは違うんだ。自分はただのニートではないんだ! と。
たけしが派遣社員として勤めていた海苔工場を退職してから、かれこれ一年近くが経つ。
この一年の間働いたことは一切なく、ほぼ毎日部屋にこもってネットにゲームに精を出し、生活費も両親に頼る日々である。
たしかに、そこまでは世間一般の量産型ニートと同じである。それは認めよう。
しかしたけしは、「働いたら負けだ」などとは決して思っていなかった。
自分はこの状態をあと5年も10年も続けるつもりはない。少なくとも今後2、3年以内には、次の仕事を探すためのなんらかのアクションを起こせたらいいなと思っている。いや、むしろやり甲斐がある仕事さえ見つかれば、やり甲斐があって残業少なめ月給多め(手取り25万円以上希望)、おまけに18歳から32歳くらいまでの女性社員が多くなおかつ勤務時間中もネットサーフィンし放題な仕事がもし見つかれば、その時には2、3年などとケチなことを言わず僅か1年以内にも働き始める可能性はあるぞと、力強く思っている。
どうもありがとうございました。