言語学的な概観
日本手話は、言語学的にいえばクレオール言語であり、ピジン言語である日本語対応手話とは区別される。日本語とは全く異なる文法体系を持っている(日本語対応手話は、日本語の文法にあわせて手話単語を並べて表現する)。
日本手話は、手や指、腕を使う手指動作だけでなく、非手指動作と呼ばれる、顔の部位(視線、眉、頬、口、舌、首の傾き・振り、あごの引き・出しなど)が重要な文法要素となっている。
語順はSVO型であるとされ、主部と述部の一致がある。語順については日本語と同じSOV型であるとする説もある。
構文形態はフローズン構文とCL構文に大別されそれぞれに特有の文法則がある。
かつて日本の手話言語学者は手話は音声語とは形態において異なる故に,音声言語学とはまったく異なる言語学用語,文法用語によって研究されるべきで あるという立場をとっていた。しかし,近年では手話といえどもれっきとした言語である故に音声語と同様の言語学的手法,用語によって説明できるはずである という立場が一般的となっている。
たとえば似ている手話表現同士は「発音が似ている」ととらえられる。こうした研究分野,手法は手話の「音韻学」,「音韻的分析」などと表現される。手話の“音素(おんそ=音の要素)”は「手形(しゅけい)」,「位置」,「動き」である。