文(一語文も含む)の先頭には必ずピッチの上昇がある。一拍目が低ければ必ず二拍目が上がり、また一拍目が高い場合は他の方言に比べより高い傾向が見られ、かつ二拍目は大きく下降する。つまり、発話の先頭がダイナミックなメロディーを持っているため訴求性に優れていると言える。
プロミネンスを語頭のピッチの上昇として統一的に実現できるため、音の上昇が感知できたらそれがすなわち重要な語の先頭であると知れるので意味内容の理解に有利である。逆に重要でない語には上昇がないので余剰的情報によって理解を妨げられない。すなわち文のフォーカス表現に優れ、論理性も情緒性も高いと言えよう。
拍と高さの結び付きが強い。二拍で構成される音節内部の下がり目も明確である※29。ただ、二拍音節内部の上がり目は実現しにくく、一拍目が予備的に相当上昇するために二拍目との差が感知されないことがある※30。但し、プロミネンスが付く場合はこの限りではない。
核のない一拍名詞を拍の延長なしに発音するので理解に困難な面がある。多くの方言話者にとって聴き取りにくく、ネイティブにとっても聴き取りにくいことがある。