最初のボタンがかけ違えられ、それにあわせて全てが 致命的に混乱していた。混乱を正そうとする試みはあらたな細かいーー洗練されているとは言えない、ただ細かいだけだーー混乱を生み出した。そしてその結果、何もかもが少しずつ歪んで見えた。そこにある何かをじっと見ようとすると、ごく自然に首が何度か傾いてしまうのだ。そのような歪み。傾けるといってもほんの僅かの角度だから特に実害はないし、べつに不自然さを感じるほどでもないし、ずっとそこにいればそれに馴れてしまうのかもしれないが、やはりいささか気になる歪み(それにそんなものに馴れてしまったら、今度はまともな世界を見る時に首を傾けることにもなりかねない)。