漢民族を主な住民としない国で漢字を使っているのは日本だけであり、朝鮮半島およびベトナムではすでに漢字の使用は事実上消滅している。その理由としては自国の独自文化を重んずる外来文化の排他運動の一面もあったが、もっと実用的な側面として、漢字が活字印刷の活用、とりわけ活版印刷において決定的な障害となっていたことが挙げられる。
1980年代以降、日本ではワープロ・パソコンといった情報機器の普及によりタイプ印字がたやすくなったが、そこに至るまでの長い活字文化においては印刷技術の活用に漢字が大きな障害となっていた。