ありがとうございました
■花子の生霊の刑事責任を追及できるか
生霊を処罰することはできない。刑法が予定している犯罪の主体は自然人(生きている人)であり、霊は犯罪の主体たり得ないからである。
■花子の生霊の民事責任を追及できるか
生霊に対して損害賠償責任を追及することはできない。民法上、不法行為の主体として想定されているのは人(自然人および法人)であるが、生霊は自然人ではなく、もちろん法人でもないので、不法行為の主体たり得ないからである。設例が凝っていたわりには結論がつまらなくて、読者のみなさまには申し訳ないです。でも、デタラメを書くわけにもいきませんので、御容赦くださいませ。
※本稿は、現在の我国の法規を念頭において執筆している。現在の我国と政治体制の異なる国においては、外形的行動に表れていない内心の意思を原因として、その人を処罰する可能性はある。(例:我国における第二次世界大戦中の「治安維持法」)
(文=希 雅祥/ライター)