――「超常法律相談所」では、弁護士資格を持つライターが、不思議なニュースやオカルトの素朴な疑問について、法律的見地から答えを見つけていく。
今回は、生霊を訴えることができるかを考えてみよう。まずは、下記のケースを想像しながら読んでみていただきたい。
都内の会社に勤務する甲野太郎と乙野花子は職場の同僚で、結婚を約束して親密に交際していた。ある日、同じ職場に丙野月子が中途採用で赴任してきた。月子はイケメンの太郎に一目惚れし、太郎は月子の猛アタックに根負けして、花子との交際を継続しつつ月子とも親密に交際するようになった。
ある晩、花子は大学時代の友人たちと食事しに繁華街に行った帰途、ラブホテルから手を繋いで出てきた太郎と月子を目撃してしまった。花子は、ひどい精神的ショックを受けた。「結婚を約束した私がいるのに…」と太郎を怨み、太郎を略奪した月子のことも怨んだ。
花子が仕事でベトナムに出張していたある晩、太郎と月子は、花子が国外にいるのをいいことに、ラブホテルでハードな変態プレイに耽っていた。太郎と月子が全裸で絡み合っているベッドの横に、どこから入ってきたのか、白い着物姿の花子が、日本刀の抜き身を携えて立っていた。白装束の花子は、「これが私の怨みだ」と絞り出すような低い声で静かに言うと、携えていた日本刀で、太郎の陰茎と陰嚢を切断し、月子の乳房を切断した。