新しいメガネ
前川(まえかわ)誠(まこと)
「お似合いですよ」(おにあいですよ)
「いやいや、見に来ただけですから」
「お客様、視力(しりょく)はどれぐらいですか。」
「えっ、視力(しりょく)ですか。それは。。。。よく分かりませんけど、そんなに悪くないですよ。ただ、カレンダーが時たまよく見えないことがあるくらいで。」
「そうですか。そうしましたら、メガネを掛けられます(かけられます)と、驚かれますよ(おどろかれます)。世の中(よのなか)が一変(いっぺん)したって(という)」
「へえ、世の中は一変するほど驚きますか(おどろくますか)」
「はい、勿論(もちろん)です。今までのお客様の中には、
付き合って(つきあって)いる彼氏(かれし)と待ち合わせ(を)した時、遠くはなれた交差点(こうさてん)で別の女性と別れる所を見ただとか、
「部屋の家具(かぐ)の隙間(すきま)に五百円玉(たま)を見つけただとか、
街ですれ違いざまに人の鼻毛(はなげ)が見えただとか
いろいろあります。
中には、私の顔の毛穴(けあな)が見えたとか言われた方(かた)もいらっしゃいましたよ。」
「ハハハ。そうですか。でも、僕はそんなに驚かないでしょう。だって、元々(もともと)そんなに視力(しりょく)悪くないですから。」
「いえ、とんでもありません。お客様も必ず世の中は一変したと驚かれます。」
「はあ、そうですか。必ず。。。ですか?」
「はい、間違いありません」
「じああ。。。」
僕は新しいメガネを掛けた。(かけた)。
すると、世の中は一変して、驚いた。
「あっ、男だったんですか。。。」
本当にありがとうございました!とても、よく話してくれました。
よろしくお願いいたします。