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五山送り火で使用せず、松からセシウム
京都の夏の伝統行事「五山の送り火」で、被災した岩手県の松の木を使うかどうか、計画が二転三転している問題。12日、結局、送り火では使わないことになりました。薪(まき)の表面から放射性物質が検出されたためです。
「陸前高田から送ってもらった薪を使用するのを断念せざるをえない。まことに残念な結果であり、心からおわび申し上げたい」(京都市 門川大作 市長)
2度目の中止決定。薪に込められた被災地の鎮魂の思いは、12日、またも、かき消されました。京都の「五山の送り火」は、先祖供養や無病息災を祈願し、薪を燃やす、お盆の伝統行事です。今年は、薪に津波で流された岩手県陸前高田市の松が使われることになり、被災者らが犠牲者の名前や復興への願いを書き込みました。
しかし、放射能汚染を心配する声が相次いだことから、薪から放射性物質は検出されなかったものの、保存会はいったん使用中止を決定。すでに用意されていた薪は、陸前高田市で迎え火として焚(た)かれました。
ところが、中止の判断に全国から批判や抗議が寄せられたため、京都市などは一転、使用することを決定。11日、再び陸前高田市から薪およそ500本を取り寄せたばかりでした。それが一転、12日の中止決定。理由は・・・
「松の中から放射性物質が検出された。検出されれば、(使用を)やめるという前提で進めていた」(京都市の会見)
京都市は、薪の表面を切り取って検査したところ、1キロあたり1130ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表。このため、送り火への使用を断念したといいます。
判断が二転三転したことについて、陸前高田市の住民は・・・
「セシウムが出たこと自体、驚いている。残念です」
「わざわざ(京都に)持って行って、こういう状態になっているんだから、(陸前高田の)迎え火で終わっていれば正解だった」
京都市側は、安全性を見極める苦悩を明かしました。
「燃やしていい基準があれば、それを踏まえればいいと思うが、野焼きにする場合の(国の)基準はない」(京都市の会見)
送り火、つまり野焼きについて国の暫定規制値がないため、薪から放射性物質が検出されるか、されないかの二択で、中止の判断をせざるを得なかったといいます。結果として、被災者を2度にわたって悲しませることになった今回の判断、波紋を広げそうです。(12日23:32)