青十郎(せいじゅうろう)ここにいたのか。
次の殿の前での御前試合、私の相手にお前の名前を挙げておいたぞ。
殿の前で剣が振れるのだ。大変名誉なことなのだぞ?
そこで、なんだが。
「始め」の合図がかかったらお前は上段に構え一気に振り下ろすのだ。私はそれに合わせて同払い一閃でお前が勝つ。
お前、師範代の私に勝てると思っているのか?本気を出せば私に勝てるとでも?勝って師範代の席を奪おうというのか?
道場でお前が私から1本でも取ったことがあるか?お前、本気で挑んでなかったというのか?
どうせ負けるなら一瞬で終わらせてやろうという私の心が分からんか。御前試合にお前を指名したのもお前のことを思ってなのだぞ?
いいな?上段に対し私が同払いで合わせる。忘れるなよ。
ならばお前こそ、その任に相応しいかろう。
決勝ではお前と当たる事になるだろう。いいか?今度は私が上段で向かう。お前は同払いで私に勝つのだ。
強き者がその任に当たるべきなのだろう?お前が適任ではないか。
強いさ。少なくとも城内の中でなら一番だろうよ。だからお前がその任につけばいい。
綾(あや)姫様!!!
失礼ですが、こちらに綾ひ。。。女人が一人来ませんでしたか?
そうですか。ありがとうございます。皆、あっちへ行ったそうです。
はい!
姫様!!
こちらに綾姫様がお見えになりませんでしたか?
ありがとうございます。皆、あっちへ行ったそうです。急ぎましょう!
綾姫様!
度々申し訳ございませぬ。こっちに姫様は戻ってきておりませんか?
待て。その方、後ろに誰かおるであろう。
誰をかくまっておる。。。もしや!
これは?
そうかもしれません。皆、やはりあちらの方じゃ!!
母 これ でこの物語はおしまい。
娘 え~、これ でおしまいな の?
母 だから少し悲しいお話って言ったでしょ?
娘 悲し過ぎ るよ。ねぇ、お話なんだから、死んじゃった人とか、鬼になっちゃた人とか、皆生き 返らせちゃえばいいんじゃない?
母 ダーメ。受け継いできた話を勝 手に変えるわけにはいかないでしょ?
娘 え?
母 それにね、この物 語はおしまいだけど、ずーっと先の世界では皆幸せになったんだって。
娘 ずーっと先の世界 ?
母 言ってたでしょ?死んであの世に行っちゃっても、生まれ変わりってあるんだって。だから、その生まれ変わった世界で。
娘 幸せになれたの?
母 長い時 間を必要としたけどね。
娘 じゃぁ、最後 の言葉はもちろん……。
2人 めでたし、めでたし。