しばらく一人旅をしていない。
そう思ったら、とても旅にでたくなった。
私は、こういうとさだけ行動がはやい。手結をひらさ、仕事のスケジュールを考えて、旅行は九月ということに決めた。パスポートが切れていたので、その呂、数
歩のとちゅうで写真をとり、区役所から書類をもらってきて、翌日には申請した。
夜、会社から帰ってきた夫にまっさきに告げた。
「九月に旅行にいってくる」
背広やネクタイ、ワイシャツやズボンや靴下をそこらじゅうに閥抗ぎすてていた夫は、服を脱ぐ手をとめ、ぽかんとした顔で私をみてこう言った。
「じゃあ、ごはんは?」
今度は私が、ぽかんとする番だった。