ただ、こういった動きはとても「美しい」ものではありますが、「ファンの善意」に頼った仕組みであり、必ずしも持続可能なものではありません。そういった中で、今のところは持ちこたえているライブハウスなどの事業体も少しずつ追い詰められています。
現状の動きを見る限りでは、「ライブ中心の産業構造」「感染の初期段階から事業活動を大幅に停止」「今後に向けた見通しも不透明」という音楽業界は、「アフター/ウィズコロナ」の社会の中での再起がかなり後ろになってしまう可能性があります。そして、本稿では音楽を題材としていますが、おそらく近しい課題が音楽以外のエンターテインメント、興行ビジネスについても横たわっていると思われます。
なかなか前向きな話をしづらい状況ではありますが、こういった音楽業界の状況を通して、社会におけるエンターテインメントのあり方や位置づけについての議論と理解がより深まることを期待したいです。