いつも断片的に音を録音しているというマイカ・ルブテ。シンセサイザーで音を奏でながら、音色にインスピレーションを受けて曲を作る。自分の感性を大切にして、手探りで曲を作って行く様は、まるで潜在能力を呼び起そうとしているよう。「録音した時は何でもないと思っていた音だとしても、後々それが曲に変身することがあるんです。偶発的に、自然と遊ぶように曲を作っているかな。とても感覚的だと思う。面白いか面白くないか。まずそうやって音を作る。そしてそれに合う音やメロディーを探して曲を作っていって、その後にメロディーが呼んでいる歌詞をつけていく。いつも歌詞は後付け。作っているうちに、あ、そうそう! 私こういうことが言いたかったんだって気づく」とまるでパズルを当てはめていくかのように、マイカ・ルブテは曲を作っていくのだ。「シンセサイザーがある限りネタは尽きない」となんだか楽しそう。「隙間を大事にして曲を作っている。例えば料理も、足しすぎていてうるさい味は嫌。なんでもうるさすぎるのは好きじゃないんです。綺麗すぎるのも嫌。なんでも多少汚れているのが好きだし、ちょうどいいと思っています。だから私の曲もノイズやズレにはこだわっているかな。整いすぎているとつまらないから、計算外の部分を大切にしている」とバランスを保つことの大事さを説明する。確かに彼女の曲を聴いていると後ろ髪引かれるような気分になるのはその意外な音のハネやズレのせいかもしれない。