彼と彼女の物語についてかい?そうだな、とても長い話になる上に、いくつかの事象は結局不明なままだ。それで良ければにはなるよ。いや、別に話したくないわけではないんだ。むしろ、僕は多くの人に語って聞かせたいと、そう願ってもいるくらいだからね。君も彼らの物語に興味を持ったということは、少なからず恋の悩みでも持っているのかな?だとしたら結論は簡単だ。本気で、人を好きになればいい。それだけさ。それは解っているって?いや、からかっているわけではない。気を悪くしたなら許して欲しい。例えば、誰かを好きになるという感情。これには様々な解釈がある。僕の知り合いに言わせてみると、単なる依存と性欲に過ぎないそうだ。まあ、彼女は素直じゃないからね。故に腹黒などと言われていた時代もあったが、おっと。話が脱線してしまった。恋というのは人を想い続けること。でも、本当に「好き」なのだとしたら、君にはその資格が存在するかな?彼と、彼女の物語もそうだった。彼女はずっとお姫様で。彼は、王子ではなかった。だからこそ、そこにドラマが生まれたという話。もっとも。恋の物語の定番を知っているかい?君の知る多くの恋物語を思い出して欲しい。二人は深く求め合い、愛し合い。離れないと誓い合う。そして、最後は。……さて、前置きはここまでにしよう。この物語の始まりは随分と前になってしまうから、一番解り易いところからにするよ。まず、彼と彼女の物語の始まりは、とてもショッキングなものだったそうだ。